なす先生の傍らには数か月前の新聞がおいてある。
内容は、自治体の施策による就職氷河期世代に向けた就職支援の記事。
読むことを勧めるため彼の知り合いが持ってきた記事なのだが、
数か月前の話、、
なす先生「すしやよー、こんなのやってるの知ってるか?」
すしや(僕)「そんなのずっとやってるよ。
氷河期世代は社会問題じゃん、まさにおれらがその対象だから当然知ってるよ。」
「あっ、俺らそうなの?」
「は、知らないの?うそでしょ!?」
(本当に驚くわ、、)
すしや「先生、いってこいよ、相談してこい」
なす先生「26年無職だぞ、相手にされるわけねーべ」
「だからそういう人、世代のための窓口なんだよ。 気になるならちょっと行ってこいよ」
数か月後、
すしや「せんせーよ、まだ行ってないの?」
なす先生「あめっ、行ってねー。
すしやよ、そもそもなー、26年無職だぞ、こんなやつ相手にされるわけねーべや。」
すしや「気にしすぎだ! つーかさ、まずその記事気になってんだろ?
ならばまずはちょっとでも行ってみろ。
行ってみてさ、それでだめならだめで、次の選択肢を考えられるんだぞ?
言っとくけど、それだって単に選択肢のひとつでしかないんだぞ!
違う選択肢もいっぱいあるんだよ、
いつまで大事に横にその記事置いてんだよ。
行ってないとずっとそこで気がかりになって何も進まないんだよ。
タスクや気になっていることは1個ずつやっていかないと、気になったままとどまってしまうんだぞ。」
(結局先生は行かなかった。 新聞はまだある。)
すしや「先生な、なこちゃんだって先生に思いは伝えたからな、もうさっさと次に向かったんだよ!
先生の印象なんて欠片みたいなもんだぞ、実際!」
・「なこちゃん事件」
事件てことでもないのだが
なす先生の部屋には、ある1枚の女の子の写真が額で飾ってあった。
体操着を着て微笑んでいる女の子。なこちゃんである。
勇気をだして体育館裏に呼び出して写真を撮ったらしい。
なす先生「すしやよー、これ中学の時に写ルンですで撮った写真だ。
当時写真屋にいって5千円も使って引き延ばしたんだぞ」
すしや「へーー」
なす先生「俺は生涯でふたり好きになったこがいる。 なこちゃんといこちゃんだ。
で、これはなこちゃん。えへっ」
すしや「よかったな、 つきあったの?」
「つきあってねー、話だって3年間で1時間もしてない」
「全然話してないじゃん!」
なす先生「なこちゃんはね俺のことを好きだったんだ。
あっちからラブレターくれたんだよ。
お母さんと海に行きました、海はエメラルドグリーンで、~~~~~
~~~~、いつかなすくんと一緒にいけたらいいなと思いました。
だってよー」
すしや「そうなん、両想いなら付き合えばよかったのに、」
「その頃そんな勇気なかったんだー」
「せっかくあっちから来てるんだから、答えるだけでよかったのに」
なす先生「何もできなかったー。」
すしや「あーあ、 その時ちょっと踏み込んでいれば、今頃どうなっていたかな。
少なくとも楽しい時代が送れたろうよ、」
、、、、、
、、、、、
すしや「で? まだそんなこと思ってんの?」
なす先生「だって、あっちが俺のこと好きだったんだよー」
すしや「先生あのなー、なこちゃんはもう何十年もそのこと思ってないぞ。
もはや覚えているかもわからないぞ。
行動してだめだと思ったから、その時点で先生のことなど終わってんだぞ。
なんとも思わなくなってんの。
つぎつぎ~ってなってんの。
先生はどんだけ引きずってんだ! 写真て!」
すしや「たしかに俺も学生時代のことを同じように思いだして後悔することはあったよ。
20代の頃は。
けどさ、その後いろいろな出会いと経験があったから、そっちのほうが大事だしボリュームもでかいよ。
その学生時代の数年の過去の後悔は引きずってないやね、結構どうでもよくなってる。
糧になったと思えばよくないか?」
なす先生「あーーーっ! あの時いっとけばなーっ!
いまならいく! 絶対いく!」
すしや「聞けや!」
僕は後日、その写真を携帯に取り込み、
セブンイレブンで拡大コピーして実写大のなこちゃんポスターを作ってあげた。
(最初の画像はだいぶ近い)
そのポスターは今も我々が飲んでいる横で優しくほほえんでいる。
